魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『そこへ数を増やし、争いに負け奪われる側となったお前たちの同族たちも加わったのだ。増えすぎた怨嗟は、今も絶え間なく慟哭を上げているぞ。自分たちを、このようにしたやつらを……幸せを享受しているこの世界の生命たちを、同じ目に遭わせてやれ――我々に、すべてを滅ぼさせろ……とな。そして、不公平なこの世界ではこれからも、どんどんそのような想いが生み出され続けるだろう』
この世に起きる不幸は偶然ではなく、誰かが叶えた幸せの副産物であるのだと、闇は主張する。
『それはやがて、あちら側に留めきれなくなり……こちら側へと流れ出す。もう分かっただろう。私の行動は、そうした未来の実現をわずかに早めようとしただけに過ぎない』
その光景は、一時的にあちら側に取り込まれそうになったことから、私にも容易に想像はできた。あの場に宿る闇はすでに、すべてを塗りつぶすほどに黒く染まっていた。そんな中、いつまで私たちが生み出す後ろ暗い感情を留めきっていられるのか。
そして万が一、あのすべてを呑み込まんとする虚無の世界が決壊し、こちら側に流れ出してしまったら……。それに侵食された私たち、生きとし生ける者たちはすべて精神と身体を切り離され、残されるのは、なにも生み出されなくなった死の世界だけ。
『いずれ、遠からずこちら側もそうなるというのなら……少しばかり時の針を進めようと構いはすまい。結局最終的に行きつくところは同じ死で……こんな世界に生まれたからこそ、苦しみに喘ぐのだ! どうせお前たちも、楽な終わり方を望んでいるのだろう! ならば……もう我らの邪魔をするな!』
「……ううっ……」
この世に起きる不幸は偶然ではなく、誰かが叶えた幸せの副産物であるのだと、闇は主張する。
『それはやがて、あちら側に留めきれなくなり……こちら側へと流れ出す。もう分かっただろう。私の行動は、そうした未来の実現をわずかに早めようとしただけに過ぎない』
その光景は、一時的にあちら側に取り込まれそうになったことから、私にも容易に想像はできた。あの場に宿る闇はすでに、すべてを塗りつぶすほどに黒く染まっていた。そんな中、いつまで私たちが生み出す後ろ暗い感情を留めきっていられるのか。
そして万が一、あのすべてを呑み込まんとする虚無の世界が決壊し、こちら側に流れ出してしまったら……。それに侵食された私たち、生きとし生ける者たちはすべて精神と身体を切り離され、残されるのは、なにも生み出されなくなった死の世界だけ。
『いずれ、遠からずこちら側もそうなるというのなら……少しばかり時の針を進めようと構いはすまい。結局最終的に行きつくところは同じ死で……こんな世界に生まれたからこそ、苦しみに喘ぐのだ! どうせお前たちも、楽な終わり方を望んでいるのだろう! ならば……もう我らの邪魔をするな!』
「……ううっ……」