魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「私は、あなたたちのことを知りました。同じだったんですね。かつて……この世の中に救いなんてないと思っていた私と」
『近づくな! 私たちは……許しなどしたくない! 私たちが受けた傷は、もうもとに戻らない! なればこそ、この世界をすべて消すか、我らが消えることでしか、帳尻を合わせることはできないのだ! お前も、一度でも己が中に闇を感じたことがあるのなら分かるだろう! お前の虐げられた傷や、母を失った悲しみはもう消えたとでも言うつもりか!』
「消えません、ずっと!」
悲鳴のような闇の精霊の言葉に、私は肯定の叫びで返す。心の傷はそんな簡単には消えない。私もきっと……この先ずっとことあるごとにそれを思い出し、時には過去の苦しみや自分の無力に打ちひしがれて、顔を俯けることもあると思う。でも……。
「でも、私は……苦しみを抱えているのが、私だけじゃないって知ったから……! 出会う人それぞれが……自分自身のままならない思いを抱えていて、きっと、皆生きていくことに必死で! なのに……私には支えてくれる人がいたから。だから……私もこれから、できるだけたくさんの人を支えられるようになりたいなって、今は……そう思っているんです」
流れ来る闇の力の圧力が、迷うように揺らいだ。ここだと、私はぐっと距離を詰めていく。
「少しずつでも、ここから周りの人たちと一緒に、色んなものを変えていける努力をしていきたい。無闇に傷つけられ、ひとりきりになって苦しむ存在が増えないように……。あらゆる人が進む道に苦しんだ時、立ち上がるための支えを掴めるように。そうすることが……私たちが私たちでいることを、諦めないことだと思うから」
『近づくな! 私たちは……許しなどしたくない! 私たちが受けた傷は、もうもとに戻らない! なればこそ、この世界をすべて消すか、我らが消えることでしか、帳尻を合わせることはできないのだ! お前も、一度でも己が中に闇を感じたことがあるのなら分かるだろう! お前の虐げられた傷や、母を失った悲しみはもう消えたとでも言うつもりか!』
「消えません、ずっと!」
悲鳴のような闇の精霊の言葉に、私は肯定の叫びで返す。心の傷はそんな簡単には消えない。私もきっと……この先ずっとことあるごとにそれを思い出し、時には過去の苦しみや自分の無力に打ちひしがれて、顔を俯けることもあると思う。でも……。
「でも、私は……苦しみを抱えているのが、私だけじゃないって知ったから……! 出会う人それぞれが……自分自身のままならない思いを抱えていて、きっと、皆生きていくことに必死で! なのに……私には支えてくれる人がいたから。だから……私もこれから、できるだけたくさんの人を支えられるようになりたいなって、今は……そう思っているんです」
流れ来る闇の力の圧力が、迷うように揺らいだ。ここだと、私はぐっと距離を詰めていく。
「少しずつでも、ここから周りの人たちと一緒に、色んなものを変えていける努力をしていきたい。無闇に傷つけられ、ひとりきりになって苦しむ存在が増えないように……。あらゆる人が進む道に苦しんだ時、立ち上がるための支えを掴めるように。そうすることが……私たちが私たちでいることを、諦めないことだと思うから」