魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ぐっと体を起こし、肩を支えあげてくれたスレイバート様に、私は笑いかけた。

「スレイバート様……私、やりたいことができたんです。いっぱい」
「当たり前だろ。俺にとっちゃ、この先全部楽しみなことばっかだっての」

 すると彼は胸を張って軽妙に笑い、私の身体をぐっと腰から抱き上げた。

 周りからは、瘴気の被害から回復した住民たちが、不思議そうに自分の身体や壊れた建物を見渡している。
 そんな中、堂々とスレイバート様は私を横抱きにしたまま歩いてゆくと、人の行き交う広い通りに出て、高らかに宣言してみせた。

「聞いてくれ、王都の民よ! 都に起きた瘴気騒ぎの黒幕は、精霊教会が封じ込めていた、古代の強い呪いのせいだった! そして、それを浄化したのが俺、北のボースウィン公爵家当主スレイバートと――ここにいる賢者マルグリットの娘、ハクスリンゲン家のシルウィーだ!」

 大きな戦いを潜り抜けてなお美しく佇むスレイバート様の姿は説得力があり、民衆たちは騒めきつつも次第にその言葉を受け入れていった。
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