魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が？ ～傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた～

　私に託された課題は大きく――そしてスレイバート様はこの通り浮かれ調子だし、心休まる日はこれからも中々訪れないだろうけど……。
　どんなに大変な問題でも、諦めずに向き合ってゆく。そして……私にできるだけの答えを用意しよう。それを知った遠い未来の誰かが、なにかを感じ、志を受け継いでくれるように。

　それには、きっとたくさんの人たちに、私たちの想いを伝えていく必要がある。
　だから私は少し怖くとも、勇気を出して大きく声を張り上げた。

「皆さん、祝福してくれてありがとう！　私たちこれから……たくさんの人々に幸せを届けていけるように、頑張ります！」

　すると、満場の拍手が高らかに響き渡り、私は隣のスレイバート様と大きく頷き合う。

　その後も歓迎の音色はずいぶんと長く続き……結婚式を一月ほど先に控えた、ある晴れた日の空に延々と吸い込まれていった――。