魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「また王都にお立ち寄りの際は、必ず顔を見せてください! できる限りのおもてなしをいたしますので……!」
「またいずれ、ボースウィン領の方にもお礼に立ち寄らせていただきます!」
「ええ、また会いましょう……! では、お元気で!」
私はそんなふたりに笑顔で手を振った後しばらく歩き、すっかり疲れた顔で近くに留められていた馬車へと寄っていく。
そしてふらふらの姿を、入り口にもたれかかっていたあの人に見咎められた。
「お疲れさん……俺の妻はどこへ行っても大人気でなによりだな」
「見てたんですか。あはは……ご協力ありがとうございました」
その御方はもちろん、北の大領地の公爵様にして……本日も麗しくあらせられる我が夫。ボースウィン領の統治者、スレイバート様である。彼はにやりと皮肉気に口元を上げると、私の手を下から持ち上げ車内へとエスコートしていく。
そして席に落ち着くと、あちら側の事後報告をしてくれた。
「ザイツバル伯爵の方は、そりゃもう青い顔でこちらに頭を下げてたぜ。今まで好き放題させてた息子はしばらく謹慎させて、跡継ぎから外すかに関してはこれからゆっくり考えるんだとよ」
「それは……ちょっとかわいそうな気もしますけど、いい薬になればと思うしかないですね」
「またいずれ、ボースウィン領の方にもお礼に立ち寄らせていただきます!」
「ええ、また会いましょう……! では、お元気で!」
私はそんなふたりに笑顔で手を振った後しばらく歩き、すっかり疲れた顔で近くに留められていた馬車へと寄っていく。
そしてふらふらの姿を、入り口にもたれかかっていたあの人に見咎められた。
「お疲れさん……俺の妻はどこへ行っても大人気でなによりだな」
「見てたんですか。あはは……ご協力ありがとうございました」
その御方はもちろん、北の大領地の公爵様にして……本日も麗しくあらせられる我が夫。ボースウィン領の統治者、スレイバート様である。彼はにやりと皮肉気に口元を上げると、私の手を下から持ち上げ車内へとエスコートしていく。
そして席に落ち着くと、あちら側の事後報告をしてくれた。
「ザイツバル伯爵の方は、そりゃもう青い顔でこちらに頭を下げてたぜ。今まで好き放題させてた息子はしばらく謹慎させて、跡継ぎから外すかに関してはこれからゆっくり考えるんだとよ」
「それは……ちょっとかわいそうな気もしますけど、いい薬になればと思うしかないですね」