魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 先程片付いた事件のように――いるのだ。あまりにも民に対して大きな力を持つせいか、貴族が無敵なのだと錯覚してしまう人が。そういう人たちには、ちゃんと力は弱者に対して振りかざすものではないのだと知ってもらう必要がある。

 自分がいつも正しい――なんて胸を張れるつもりは一生しない。けれど、してはいけないことに目を瞑らずいられたという点においては、今日の自分を褒めてあげてもいいのではないだろうか。
 そう納得し、気を取り直しかけたところ……。

「……しっかし、ずいぶんと国王も思い切った決断をしちまったもんだ」
「そ、そうですね。あれには私も驚きました」

 こちらの懊悩が一段落つくのを見計らったスレイバート様の口からひとつ……大きな話題が飛び出した。
 今回王都に来訪した目的は、この事件の収集を付けるためだけではなく……他にも色々と用事があったからで。
 そのひとつを思い出し、私の目が泳ぐ――。

「まさか皇帝が……あれだけ可愛がっていた第一皇子を、つい先日まで敵対してたあの国にくれてやっちまうとはな」
「すごい表情をされてましたね、ディオニヒト様……」

 昨日……皇宮の謁見の間にて、帝国史に名を残しかねない大事件が起こった。
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