魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
そうして育った教会員たちは、この国で年々大きくなる瘴気や魔物の被害のため各地に出向くことになるのだが、残念なことにその貴重な彼らをボースウィン領のような辺境に呼ぶには、年単位の待ち時間と多額の謝礼を用意しなければならないのだとか。
そうしてテレサが一旦教会員となれば、その支配からは逃れられず、故郷に戻ることはほとんどできなくなる。
しかしどうしても、彼女はそれを受け入れたくなかったのだという。
「私は、幼い頃から父や兄がこの領地のために働くのを見てきましたから。私も彼らのように、この魂の一片までボースウィン領に捧げたい――そんな我が儘を父が叶えてくれました。お蔭で私は、今も微力ながらここで力を尽くすことができています」
このラッフェンハイム帝国の冠婚葬祭をつかさどる精霊教会の影響力は国政を動かす上位の貴族すら無視できないもので、実際に教会の上層部では教会での位階と爵位を兼任するものも多い。そんな組織から娘に対する特別扱いを認めさせるのは、並大抵の苦労ではなかっただろう。
「優しいお父上だったのね」
「はい。自慢の父です……」
テレサは思い出を探すように胸に手を当てた、彼女の記憶の中にある父親の姿が素敵なもので良かったと思う反面、こんな健気な子を放って、母親の方は今どうしているのかとつい憤ってしまう。
そうしてテレサが一旦教会員となれば、その支配からは逃れられず、故郷に戻ることはほとんどできなくなる。
しかしどうしても、彼女はそれを受け入れたくなかったのだという。
「私は、幼い頃から父や兄がこの領地のために働くのを見てきましたから。私も彼らのように、この魂の一片までボースウィン領に捧げたい――そんな我が儘を父が叶えてくれました。お蔭で私は、今も微力ながらここで力を尽くすことができています」
このラッフェンハイム帝国の冠婚葬祭をつかさどる精霊教会の影響力は国政を動かす上位の貴族すら無視できないもので、実際に教会の上層部では教会での位階と爵位を兼任するものも多い。そんな組織から娘に対する特別扱いを認めさせるのは、並大抵の苦労ではなかっただろう。
「優しいお父上だったのね」
「はい。自慢の父です……」
テレサは思い出を探すように胸に手を当てた、彼女の記憶の中にある父親の姿が素敵なもので良かったと思う反面、こんな健気な子を放って、母親の方は今どうしているのかとつい憤ってしまう。