魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
あの男性の地位が相対的に低いベルージ王国では、もし女王に子を身籠らせることができたとしても……子種を与えた者の地位が上がることはないということだ。
よって……これからのディオニヒト様を待つ生活は、今までとはまったく異なったものになるに違いない。それを聞いた彼が愕然とし、まるで子供のように泣き喚く様は、見るに堪えないというか……。
皇帝の足元に縋りついて靴まで舐めて許しを乞い、あげく蹴っ飛ばされる姿には……重臣たちすら顔を覆い、私も痛々しくて見ていられなかった。
せめて、女王との愛ある生活が送れますように……と、私はスレイバート様と並んで、しばし瞑目する。
それから、後は……。
「ヴェロニカのことは……こういっちゃなんだが、まあ残念だったな」
「はい……」
闇の精霊に身体を操られたヴェロニカは、事件の後、大きな身体の不調もなく目を覚ますこととなった。しかし……この二十年余りを生きてきた記憶を失ってしまったのか、赤ちゃん返りしたかのような状態に陥ってしまっていた。一度だけ、彼女を見舞いにセレーニテ家のもとを訪れたけれど、私の顔を見ても、なんの反応もなくぼんやりと無表情で蹲っているだけだった。
彼女の人格がこれからの年月でちゃんと育っていくのかも未定であり……。
よって……これからのディオニヒト様を待つ生活は、今までとはまったく異なったものになるに違いない。それを聞いた彼が愕然とし、まるで子供のように泣き喚く様は、見るに堪えないというか……。
皇帝の足元に縋りついて靴まで舐めて許しを乞い、あげく蹴っ飛ばされる姿には……重臣たちすら顔を覆い、私も痛々しくて見ていられなかった。
せめて、女王との愛ある生活が送れますように……と、私はスレイバート様と並んで、しばし瞑目する。
それから、後は……。
「ヴェロニカのことは……こういっちゃなんだが、まあ残念だったな」
「はい……」
闇の精霊に身体を操られたヴェロニカは、事件の後、大きな身体の不調もなく目を覚ますこととなった。しかし……この二十年余りを生きてきた記憶を失ってしまったのか、赤ちゃん返りしたかのような状態に陥ってしまっていた。一度だけ、彼女を見舞いにセレーニテ家のもとを訪れたけれど、私の顔を見ても、なんの反応もなくぼんやりと無表情で蹲っているだけだった。
彼女の人格がこれからの年月でちゃんと育っていくのかも未定であり……。