魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 若く美しい時を無為に過ごした後、彼女が自分の人生についてどう感じるのか、考えるだけで胸が詰まる。父親のセレーニテ公爵についても、彼女に操られたとはいえ、ゲルシュトナー領の塩の件もあって裏で王国から厳しい追及を受けているようだ。

「……ま、その辺りは割り切るしかねーよ。取り返しがつかねーこともたくさんあったからな。なんにしろ……お前が悩むことじゃねえ」
「すみません……」

 スレイバート様は私の頭に手をやり慰めてくれる。彼自身もお父上のことといえ、闇の精霊に関する一件の被害者であるのだから、持て余す思いのひとつやふたつあるだろうに。それでも私の気持ちを思い遣ってくれることには、ひたすら感謝だ。

 私は暗い雰囲気を変えようと、明るい話題に切り替えた。

「でも……よかったですね。精霊教会をテレサが率いてくれると決まって」
「そうだな……」

 これもまた帝国における大きな変革と言えるだろう。今回の事件の中心的舞台となった精霊教会に関してだが……巫女のヴェロニカ並びに上層部の人員は、よほど強力な聖なる魔力を持つ者を除いて、ほとんどがその役職を剥奪された。
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