魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そのもとには、いくつもの献花や贈り物が捧げられていた。そこに跪くと、彼は少しそれを整理し、花束を置くスペースを作ってくれた。

「ほらな……お前の母親、人気者だったんだよ。葬式の時も……すげーたくさんの人が集まってた」
「……はい」

 私は鼻をすんとならすと、両手に抱えた花束を、真ん中にそっと置かせてもらう。
 母は種類問わず、とにかく真っ赤で派手な花が好きだったそうで……バラだのクレマチスだのラナンキュラスだの、店にあるものを片っ端から詰め込んでもらった。

 私もスレイバート様の隣にしゃがみ込むと、彼の手が、私の肩を抱き寄せ……湿った声で言った。

「ほら……連れてきたぞマルグリット。あんたの娘、可愛く育ったろ。俺たち、結婚したんだ……これからちゃんと、ずっと俺が側で守るから、安心して休んでな」

 ちらりと見えたスレイバート様の横顔は、ほとんど見たことのない半泣き顔だ。それも素敵だなと思いながら、釣られるように私の目にも涙と色んな感情が浮かんでくる。
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