魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 お墓にそっと手を添えた。報告したかったことはたくさんあるけれど……まずは感謝を。

「お母さん、ありがとう……私、今とっても幸せ。大好きな人が隣にいてくれて、頼れる人がたくさんできたから。あのね、私……自分を信じて進んでいけるようになったよ。ずっと……こんな私なんていても居なくても変わらないと思ってたけど、今は違うの。周りの人たちと手を取り合っていけば……少しずつでもいい方に未来を変えていけるって、そんな気がしてる」

 私の中にあったお母さんの力は消えてしまったけれど……今ももしかしたら、その想いは見えないだけで、この世界に溶け込んでいるのかもしれない。

 きっとどこかで見守ってくれている……そう願うと、私は慕う気持ちを彼女に伝えた。

「また、どこかで会えるよね。夢の中でも、心の中でも……。だから私、お母さんに恥ずかしくないよう、一生懸命やってみる……。私なりのやり方で、少しずつ周りに幸せを増やせるよう、努力するよ」

 世界は、こんなにも広い……。私の隣、スレイバート様や仲のいい人たちも……そしてうんと遠く大地を隔てた名も知らない人たちも、同じ世界の一部で、繋がっている。
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