魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
彼の皺の浮いた両手が、堅く身体の前で握りしめられた。
「お願いだ……もし可能ならば、ここから……変わる機会を与えてほしい。優しい父親にはもうなれないが……。ひとりの人間として恥を灌ぎ……妻の代わりに陰ながらお前たちの幸福を見守っていけるように」
かつては欲望に濁り……今は絶望に沈み切っていた父の瞳が晴れていく――。
それを見た私は、大きく息を吸い込んだ――もういいや、と本当に思えたから。
そして、もう一回だけ……父の顔を今度は反対の手で打った。
「これはお母さんの分です。生きていたら、きっとこのくらいじゃ済ませなかったと思いますけど」
そんなに力は込めなかったけれど……景気のいい乾いた音が響いた後、後ろから小さな笑い声がしてきた。
「……ははははは、違いねぇや」
生前の母のことを思い出したのか、スレイバート様は身を揺すっている。私はその姿に口元を緩めると、目の前で私の顔をじっと見ている父の堅く握られた手を、解いていく。
「お願いだ……もし可能ならば、ここから……変わる機会を与えてほしい。優しい父親にはもうなれないが……。ひとりの人間として恥を灌ぎ……妻の代わりに陰ながらお前たちの幸福を見守っていけるように」
かつては欲望に濁り……今は絶望に沈み切っていた父の瞳が晴れていく――。
それを見た私は、大きく息を吸い込んだ――もういいや、と本当に思えたから。
そして、もう一回だけ……父の顔を今度は反対の手で打った。
「これはお母さんの分です。生きていたら、きっとこのくらいじゃ済ませなかったと思いますけど」
そんなに力は込めなかったけれど……景気のいい乾いた音が響いた後、後ろから小さな笑い声がしてきた。
「……ははははは、違いねぇや」
生前の母のことを思い出したのか、スレイバート様は身を揺すっている。私はその姿に口元を緩めると、目の前で私の顔をじっと見ている父の堅く握られた手を、解いていく。