魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 俯き加減で辛そうにする彼女に次いで、ルシドも言葉を重ねた。

「呪いは、自然発生するようなものじゃなく、他の魔法と同じように必ずそれをかける術者が存在しているはず。公爵家の嫡男ともなると、何者かから逆恨みされることも多い。我々もスレイバート様を救うため、必死になってその手掛かりを探しました。けれど、糸口すら見つけることはできず……」

 呪いというのは、書物などによると生来持つ魔力が、強い他者への恨みや嫉妬の念で穢れ、闇の魔力に目覚めることによってはじめて扱うことができるようになる魔法の一種らしい。当然その多くは負の感情で誰かを呪い、大半が己の精神を壊しながら周りの人生ごと台無しにしてしまう。 

 だが、普通ならばそれも聖属性魔力の持ち主なら解呪や発生源の特定が可能であるはず。最高峰の聖属性魔力を持つ精霊教会の高位司祭が匙を投げるような呪いなんて、一体何者が……。

「私がもっと強力な魔力を扱えたなら、命を懸けてでも浄化してみせますのに……」
「僕も術者を見つけたら許せる気がしません。必ず追い詰めて……この手で」

 強い怒りを表に出すふたりを見ていると、スレイバート様に万が一のことがあった時が不安だ。愛する人を失った時が最も人を憎しみへと駆り立てやすいのだから。
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