魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 でも、こうして突っ立っていたところで、なんにもならない。

(どうすれば……)

 人々の避難誘導を手伝おうにも、私はこの街には詳しくないし、テレサと一緒に怪我人の治療を手伝うのが妥当な判断だ。まずは、怪我人が収容されている施設を誰かに聞いて――いや。

「テレサ。あなたは御者さんと怪我している人たちを探して、治療をしてあげてくれる?」
「はい……。えっ、お姉様は――」
「やることを思いついたの! 心配しないで、無茶はしないから!」

 テレサを追ってこないように御者さんの方へ突き出すと、私は足を懸命に動かしその場から離れていった。

 兵士が言っていた通り、一帯は濃い瘴気で包まれていて、どんどん強くなっている。このままでは街人達にも動けなくなる者が出てくるし、魔物達の侵攻に耐え切れなくなる。

(とにかく瘴気を、どうにかする……!)
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