魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
ハクスリンゲン邸は、まるで廃屋みたいにひっそりと静まり返っている。おそらくこの屋敷も数か月後には手放され、賠償金の補填へと充てられることだろう。
そしてこの私も……。
「……失礼します」
「入れ」
屋敷の最上階。赤い絨毯敷きの長い廊下の奥にある、硬い木の扉にトントンと力の籠らないノックを打つと、返事が聞こえたので中に入る。
すると予想通り、そこでは机に座った父が私を恨みがましそうに睨みつけていた。
「その顔を見ると虫唾が走る。このハクスリンゲンを存亡の危機に叩き込みおって」
(それはそれは、残念でございましたね)
そんなことになったのは、都合のいい未来が来ると信じて王家から賜った資産を有効活用できずに、彼らを騙し続けたあなた様の不徳の致すところなのでは?
顔に出さず、心の中で呟くと、冷めきった気持ちをひた隠しにした私は「申し開きのしようもございません」と深く頭を下げた。
そしてこの私も……。
「……失礼します」
「入れ」
屋敷の最上階。赤い絨毯敷きの長い廊下の奥にある、硬い木の扉にトントンと力の籠らないノックを打つと、返事が聞こえたので中に入る。
すると予想通り、そこでは机に座った父が私を恨みがましそうに睨みつけていた。
「その顔を見ると虫唾が走る。このハクスリンゲンを存亡の危機に叩き込みおって」
(それはそれは、残念でございましたね)
そんなことになったのは、都合のいい未来が来ると信じて王家から賜った資産を有効活用できずに、彼らを騙し続けたあなた様の不徳の致すところなのでは?
顔に出さず、心の中で呟くと、冷めきった気持ちをひた隠しにした私は「申し開きのしようもございません」と深く頭を下げた。