魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「はっ、はっ……、頑張れっ、急げっ!」

 日ごろ鍛えていない女の足だ。すぐに棒のようになって息切れでふらふらしてくる。それでも自分を鼓舞し、懸命に一段ずつ足を掛け、二本の足で立てなければ這いつくばるようにして身体を引き上げてゆく。

 最後の方は吐きそうになりながら最上階まで上り詰めると、金色をした真鍮製の大きな鐘に手を突き、街を見下ろした。

「ぜえ、はあ……。ここなら……」

 瘴気交じりの風が強く吹き付ける高台の上で。目も眩むような高さから見る眼下の街並みにごくりと喉を鳴らした後、私は両手を合わせて意識を奥深くに沈め、強く祈った。

(お願い……瘴気を私の身体に閉じ込めて!)

 すぐに先日村で吸い取ったものとは、比較にならない量の瘴気が勢いよく、身体の中に流れ込んでくる。

「ううっ……」

 大量の魔力の洗礼を浴び、身体の感覚が遠くなって膝が揺れる。
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