魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 頭があっというまに霞がかったようにぼやつき、今にも意識を手放してしまいそうだ。ひどく眠い。
 だが……今ここで倒れたら、きっとこの街は魔物に対抗できる手段を失くしてしまう。

(……耐えないと!)

 唇の端を噛んだ痛みで意識を保つ。口の端から血が垂れ、生暖かい感触が喉を伝うが、気にしている余裕なんてなかった。

 しかし、これほどの瘴気を吸い込んでも、中々底が見えない。精神的にはすでに限界を迎えているが、容れ物である私の身体は一体どうなっているのか。
 そんなこと考えで気を紛らわし、どれくらいの時が過ぎたのか――。

「おい……瘴気が薄らいできてる! 魔物たちが弱ってきたぞ!」
「いける、押し返せるぞ! 皆、力を振り絞れ――っ!」

 遠くからそんな声が聞こえてきて、私の試みが上手く行きかけているのを伝えてくれる。

(よし、いける。もう……少しっ!)

 それに鼓舞され、まともに立っていられずに跪いていた私は、完全に瘴気を除去すべく、最後の力を振り絞ろうとした。そこで――。
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