魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ギュアアアァァ――ッ!」
「え――なにっ!?」

 バサバサという羽音と、空気を切り裂くような高い鳴き声が邪魔をした。
 先程ちらりと見かけた鳥型の魔物――火吐き燕よりも一回り巨大な鴉が、私を障害と見なしたか、空中から突っ込んでくる。

「やっ、きゃぁぁぁっ!」

 斜め上から滑空しながら、羽を矢のように飛ばしてきた魔物の攻撃を、初撃は運よくなんとか躱す。

「……ひえぇっ」

 私の代わりに攻撃を受け止めた真鍮製の鐘がぼろっと崩れ、鳥肌が立った。
 あんなものに打たれたら、本物の矢で撃ち抜かれる以上に穴だらけになってしまう。

 私は足をもつれさせながら、急いで建物の中へ伸びる階段に飛び込もうとする。だが、さっきまで祈っていたせいでふらついてろくに動けず、私は地面にすっ転んだ。

「こんな時にっ……」
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