魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 地面を這いずりながら、なんとか階段に辿り着こうとしたものの、そのナメクジのように鈍い動きを魔物は見逃してくれず……。

「ガァッ!」
「うきゃぁぁぁぁっ!」

 羽の矢が通りにくい角度だったのか、今度は突撃。
 どすんと頭突きされ、軽い私の身体はよろよろとよろけて……二、三歩の後に踏んだのは、足場の(へり)

「嘘っ……!」

 視界が斜めに傾き、空が見えた。反射的に足元に首を向けようとしたものの、時すでに遅し。がりっと私は石の床を踏み外して、身体が空中に投げ出される。必死に手を伸ばすが、足場にはもう届かない。

「ひゃぁぁぁぁぁっ、だっ、誰かぁっ!」

 まるで吸い込まれるように身体は地面へと真っ逆さま。

(私のバカっ……!)
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