魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 気を取り直して頭を下げた後、ルシドと一緒に私は町長の部屋を出て行った。扉を閉め、私を客室に案内しながら彼が後ろ頭を掻いて嘆く。

「まいったなぁ。まさかこんな事態に遭遇することになるなんて。スレイバート様が心配されてなければいいんですが……」
「仕方ないわ。それにぐうぜん私たちが居合わせてよかったのよ、きっと」
「そうですね」

 仕事を終えたら本日中に折り返す予定だったし、帰ったらスレイバート様がむっとした様子で「てめーら、一体なにをやらかしたんだ?」と説明を迫る姿が想像できる。

 それをおかしく思っていると、がくり、と足から力が抜けて……。

「大丈夫ですか!?」
「……っ、あれ?」

 また頭がぼんやりとしてくる。緊張が解けて、疲れがどっときたのだ。
 私は背中を支えてくれたルシドに礼を言ってなんとか歩き出そうとしたが、足元がどうにも覚束ない。これは、意地を張ることもできなさそうだ。
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