魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ああ~……これって、魔石?」

 手の平の上に乗ったのは、綺麗にダイスカットされた石くれだ。半透明の水晶のような素材の内部からは、淡く輝く紫の光が滲み出ている。

 これは魔石――いわずもがな、内部に魔力を溜め込んだ鉱物の一種。世界の様々なところで採掘されるようだが、その量は割と希少で、主に魔道具の動力源としてや、魔法士用のポーションの材料などとして使用される。

「そっか、あのお城にも魔法の力で動く設備がいくつかあるもんね……」

 城門を上げ下げするウィンチ(巻き上げ機)や、部屋によっては魔トーチや魔シャンデリアでの光源などにも使われるし、確か近辺の魔物を探知するような設備もあったはず。

 その動力であるこの石がそれなりに高価なものであることは、家でさんざん魔道具を使わされた私でも知っている。掘ってきた芋みたいに荷台にごろごろ転がしておいていいものじゃない。

 ちゃんと戻しておかなきゃと手を伸ばしたところ、貨物室の扉が勢いよく開いた。

「――どうしました!? お怪我は――っ!?」
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