魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「こ……こんなっ、これは凄いことです! こんな現象話にも聞いたことがない!」
「え、ええ……私も」

 興奮気味のルシドに肩を掴まれ、私も幻を見たかのような思いでもう一度手のひらの中の魔石を見つめた。
 確かに、相当量の瘴気を身体に吸い込んだけれど……それが魔石に受け渡すことまでできるなんて、私の身体ってなんなの!? ……と、自分の身体が怖くなってきた。

(これは、あまり深く考えない方が健康に良さそうだわ……)

 混乱しかけた私は一旦このことを直視するのは止め、なんとか形だけを取り繕って笑ってみせた。

「あ、あはは……と、とにかく、丁度良かったじゃない。町長さんも魔石が必要になるって言ってたもの。この際空になっているいらない魔石があったら、じゃんじゃん魔力を移してレーフェルやボースウィン領の復興に使っていきましょう!」

 そんな私のアイデアにルシドは焦った様子で待ったをかける。

「お、落ち着いてください! シルウィー様がそれでよいとしても魔石はとても高価な商品なんです。いたずらにただで増やすようなことをすれば市場が荒れ、流通が破壊されてしまいますから!」
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