魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「フフ、ハハハハハ……! わからんか? お前の身売り先の候補に決まっているだろうが。皇太子との縁が切れてしまったのは残念だが、賢者マルグリットの名は未だ広く国に知れ渡り、その血を欲しがるものは山といる! それをくれてやろうというのだ、この国の公爵家や他国の王族などがこぞって手を挙げておるぞ! お前はその中でももっとも金と欲に塗れたものに売り渡してやる! 出立に向け、せいぜいこれまでの親不孝を嘆いているがよいわ!」
(こうやって、悪いことはいつも全部私のせいにして……)

 この人の辞書にはきっと自己責任という言葉はないんだろう。子供の能力を当てにして成り上がりを目論んで、いざ失敗したらなにかの間違いだ、全部他人が悪いんだなんて、子供じみてる。

 きっと、父みたいな……いや、それ以上にひどい人の元に嫁がされて、私はこれからろくでもない目に遭うんだろう。ひどい話だと思うし、何も知らないふりをして逃げてしまいたいと思う。

 でも、こうしてこの家に一度生まれてしまって、曲がりなりにもこの侯爵家で生かされてきた以上、取れる範囲の責任は取らなきゃいけない。

「わかりました。すべてお父様のおっしゃる通りです。部屋に戻ってこれまでの過ちについて反省したく思いますので、この場から下がらせていただいてもよろしいでしょうか?」
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