魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
彼の心臓の上を抉るようにぐっと握りしめ、ここに伝われと、心からの言葉を絞り出す。
「そんなの、許さない……! 傷付いても、苦しんでも……ありのままのあなたの姿を、記憶に刻み付けておきたいから! 気付いてください、あなたと過ごしたこの短い日々は、とっくに私にとっては、大切な宝物なんです! だから私も、ボースウィン領をこの先、できる限りのことをして守ってゆきたい。もちろん、あなたの大切な家族のことも……」
「どうして、そこまで……」
それでも私を追いやろうとする彼の力ない手を、私は自分のものと絡ませ、離れないようぐっと握る。
「あなたが教えてくれたんですよ。どんなに苦しくても、動けるうちは動くんだって……。諦めて目を背け、なにかが変わるのを待ってばかりじゃ、幸せなんて近づいて来ない。大切なものがあるなら、苦しみだって受け入れて、前に進まないと……。私は、それができるように、なりたいから」
痛みや恐怖から目を背けて、手のひらから大事なものが零れていくのをただ見ているのは、もう……いやだから。
これだけは嘘はないと、心の底から自分のことを信じて言えた、そんな言葉――。
「…………やっぱお前、おかしいよ」
それを受けて、微かに泣き笑いのような表情を浮かべた後、彼は指に力を籠め、ぐっと私を見返した。
「そんなの、許さない……! 傷付いても、苦しんでも……ありのままのあなたの姿を、記憶に刻み付けておきたいから! 気付いてください、あなたと過ごしたこの短い日々は、とっくに私にとっては、大切な宝物なんです! だから私も、ボースウィン領をこの先、できる限りのことをして守ってゆきたい。もちろん、あなたの大切な家族のことも……」
「どうして、そこまで……」
それでも私を追いやろうとする彼の力ない手を、私は自分のものと絡ませ、離れないようぐっと握る。
「あなたが教えてくれたんですよ。どんなに苦しくても、動けるうちは動くんだって……。諦めて目を背け、なにかが変わるのを待ってばかりじゃ、幸せなんて近づいて来ない。大切なものがあるなら、苦しみだって受け入れて、前に進まないと……。私は、それができるように、なりたいから」
痛みや恐怖から目を背けて、手のひらから大事なものが零れていくのをただ見ているのは、もう……いやだから。
これだけは嘘はないと、心の底から自分のことを信じて言えた、そんな言葉――。
「…………やっぱお前、おかしいよ」
それを受けて、微かに泣き笑いのような表情を浮かべた後、彼は指に力を籠め、ぐっと私を見返した。