魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「そんなに気に入ったか?」
「……あ、ぅ……そ、れは」

 浅く息を(あえ)がせながら、私はぼやついた頭の中で、今私はどれだけだらしない顔をしているのだろうと……自分を省みようとしたけれど――。

「何度でもしてやる。お前が忘れられなくなるまで」

 こちらの答えも聞かず二度目の口づけは始められ、私はそれを嫌がりもせず受け入れてしまう。
 触れ合う度、心の奥になにかが注ぎ込まれてくるような多幸感が押し寄せ……なにも、考えられない。

 堅く結んでいた唇も次第に半開きになり、そこへするりと、舌先が――まずは反応を試すように唇の外側を――そして次は、私の中へと……。

 どくっと……強く心臓が跳ね、一瞬異物感にぞわっとしたけれど、彼が大丈夫だというように背中を柔らかくさすり、私はかろうじてそれを受け入れる。

 そこからは、まるで彼に支配されたように、私は呼吸のタイミングすら彼任せだった。
 優しく唇をなぞられたと思ったら、深く奥まで舌先が入り込み、時には(ついば)まれ、舌先を絡め取られる。
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