魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「う、そ……だろ。こんなことが……あるはず――」

 そうして、何度も……鏡と顔の間で手を往復させ、先程までは真っ黒だった左半身をなぞり、整った上裸を裏表と返して、つぶさに確認する。

 そして、どこまでいっても均一で滑らかなその肌に満足すると……小刻みに唇を震わせながら、こちらを振り返った。

「なんだよ……おい。俺は、夢でも見てんのか? 答えてくれ、シルウィー……」

 そして、ゆっくりとベッドに横になった私へと近づいて来る。
 そんな彼に私は、安心しきった笑顔で、こう答えた。

「夢じゃありません。もう……あなたの呪いは解けたんですよ」

 そうして……確かめるように彼の頬に手を当てると、そこへすっと、涙の筋が伸び、私の指を浸してゆく。

「お……れは……、この先も、生きて……いられるのか」
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