魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 当然、親族とは揉めに揉め……相当関係は悪化したらしい。

 ――が、親父が類まれなる英雄であったこと、そして俺がその容姿と魔力を強く受け継いでいたことにより、臣下の後押しもあってなんとか公爵位に返り咲いて、俺も嫡男だと認められることになったんだとさ。

 しかし、そこからが俺にとっては大変な道のりだった。

 承認を得たとて、どこの誰とも知らない人間が母親ってのは公爵家の人間として問題すぎる。俺が親父の持っていた聖属性の魔力を継いでいなかったってことも不安要素で、弱みを見せたらすぐ付け込まれ、継承権を奪われる。そのことが分かってた親父は、誰よりも明確な実力者として俺を育てるため、小さな頃から必要以上に厳しく鍛えあげた。

 親父の真剣さは伝わっていたし、俺だって強くなれるものならと必死に励んだが……それでも、国内有数の実力者の背中ははるか遠く、努力すればするほど親父の姿が離れていく気がした。

 絶望してこの家から逃げ出すか、本気で考えていたそんな頃――。
 あったんだ。俺たちに今後を左右するような大きな出会いが。

「それがお前の母親だったってわけだ、シルウィー」
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