魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「でもって、強情なとこだけは、ちょっと似てるのかも知れねーな……」

 そんなマルグリットは、プライベートでは開けっぴろげで口さがなく、すぐ手が出るような嵐のごとき女でもあった。俺も引っ叩かれたことは一度や二度じゃない。偉そうでいけ好かない貴族をぶん殴って、親父に頭を抱えさせたこともあったっけな。

 自分の芯を曲げず、嫌だと思ったことは絶対にやらない――そんな我が儘を絵に描いたような人物だったが、それでも周りに人の姿が絶えなかったのは、彼女がいつでも助けを求める誰かのために使う力を惜しまなかったからだ。

 俺もあの人がいなかったら、ねじくれ曲がった性根が直らず、こうして親父の跡を継ぐこともできなかっただろう。

 当時はまだ魔力の量も扱いも拙く、ろくに生まれ持った氷魔法を使いこなせず悩んでいた俺に、マルグリットは、ある日こう言ってくれた。

 『自分を信じなさい。そして諦めず、あなた自身が何をしたいのか、求め続けるの。希望を絶やさない――それがどんなことでも上手くいく魔法のコツよ』――そう教えてくれたのが彼女だったからこそ、俺はその言葉を信じて、地道な努力を続けて来られた。

 成果はすぐには現れなかったものの、長きに渡れば、どんな努力も周りに見ていてくれる人間は必ずいる。
 少しずつ認めてくれる者も現れ始め……やりがいが見つかった俺は、マルグリットが城を離れても、未来で再会した彼女をあっと言わせる日を楽しみに、毎日の厳しい鍛錬を潜り抜けてくことができたんだ。
< 189 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop