魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
実は……ちょっとだけ、子供心に親父がマルグリットと再婚してくれないかと願っていた時期もあった。
あのふたりは強くて格好良くて特別だったし、彼らの背中を近く見ていれば、きっと俺もいつかはこの領地を治めるに相応しい人間だって、胸を張れるようになる――そんな気がしたから。
でも、そんなことにはならなかったどころか――。
「次会う時が墓の下だなんてな……」
当時のことを思い出せば、胸の痛みがありありと蘇る。
彼女が領地を去った翌年だったか、結婚の知らせを聞いた。
その時は俺は体調を崩していて祝いにいけず、直接王都に出向いて祝辞を述べた父に、次の機会は絶対に俺もいくと約束させたものの……。
それから一年足らずで、マルグリットはシルウィーを生んで亡くなってしまった。
王都での葬儀に参加した俺は棺に花を手向けた後、立ち竦むシルウィーの親父を睨み付け、ろくに挨拶もせずに領地へと帰り着いた。
なぜ愛する妻を、側にいて助けてやることができなかったんだ――事情もろくに知らないのにどうしようもなく腹が立ち、一言でも口を開けばぶん殴ってしまいそうに思えたのだ。あれだけ多くの人を救った偉大な賢者のあっけない逝去は、俺の心に寂しい影を忍ばせた。
あのふたりは強くて格好良くて特別だったし、彼らの背中を近く見ていれば、きっと俺もいつかはこの領地を治めるに相応しい人間だって、胸を張れるようになる――そんな気がしたから。
でも、そんなことにはならなかったどころか――。
「次会う時が墓の下だなんてな……」
当時のことを思い出せば、胸の痛みがありありと蘇る。
彼女が領地を去った翌年だったか、結婚の知らせを聞いた。
その時は俺は体調を崩していて祝いにいけず、直接王都に出向いて祝辞を述べた父に、次の機会は絶対に俺もいくと約束させたものの……。
それから一年足らずで、マルグリットはシルウィーを生んで亡くなってしまった。
王都での葬儀に参加した俺は棺に花を手向けた後、立ち竦むシルウィーの親父を睨み付け、ろくに挨拶もせずに領地へと帰り着いた。
なぜ愛する妻を、側にいて助けてやることができなかったんだ――事情もろくに知らないのにどうしようもなく腹が立ち、一言でも口を開けばぶん殴ってしまいそうに思えたのだ。あれだけ多くの人を救った偉大な賢者のあっけない逝去は、俺の心に寂しい影を忍ばせた。