魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 だが……いつまでも(いた)んでばかりはいられない。親父が後妻を娶り、新しい家族であるテレサも生まれた。後妻は子どもを産んで実家にとっとと帰ってしまったが、幸いテレサは健やかに育ち、目まぐるしく過ぎる日々の中、親父から受け継いだ聖属性の魔法をものにしようと、幼いながらに頑張っている。

 先行きは明るく思え……これからはマルグリットの分まで俺達が国を守ると、決意を胸に着々と爵位継承を見越し、親父から仕事を引き継ぎ始めた頃……。

 引き金となるその出来事が起きた。

 親父が……北の英雄アルフリードが原因不明の病に倒れたんだ。
 度々つけてくれていた稽古どころか、領内の執務ですらろくにこなせないほど、急速に容体は悪化していく。

 俺は焦った。親父がいなくなるなんてもっと先で……どうせ、引退した後は領主業にひいひい言っている俺を後ろから見て笑いながら余生を過ごし、満足して逝く――そんな穏やかな終末を漠然と思い描いていたから。

 だが残酷なほどに終わりの訪れは早く、気付けば、親父の命の灯は消えかけていた。
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