魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
こんな、夢見がちな子供のようなことを言う人ではなかったはずだが、親父の目はどう見ても正気で、臥せる前に戻ったかのような力強い瞳で俺を見つめている。
『今から二十年程も前になるか……私が一時、城を離れていた時の話を、聞いているな?』
『当たり前だ。あんたがどこぞの女に産ませた俺を、城に連れて帰ってきたんだろ? らしくねー真似しやがったもんだと、今でも思ってるよ』
この堅物親父がそんな馬鹿げたことをするなんて、つくづく女っていうのは不思議な存在だと思ったもんだが――その後の言葉はより深く俺を混乱させた。
『実は……それがこの広大な北の地を守っていた精霊だったのだよ』
『…………』
笑い飛ばせるかと思ったが、できなかった。親父の瞳があまりにも真に迫っていたから。
仕方なく、俺は真剣に精霊について思いを巡らす。
精霊教会がこの国の第一宗教として認知されているとおり……この帝国には、昔から精霊に関して各地に伝承がある。大地、水、風……あらゆる自然物が長い時を経て精霊という存在に変化し、人々に加護を与え苦難から守ってくれているとされているのだ。
『今から二十年程も前になるか……私が一時、城を離れていた時の話を、聞いているな?』
『当たり前だ。あんたがどこぞの女に産ませた俺を、城に連れて帰ってきたんだろ? らしくねー真似しやがったもんだと、今でも思ってるよ』
この堅物親父がそんな馬鹿げたことをするなんて、つくづく女っていうのは不思議な存在だと思ったもんだが――その後の言葉はより深く俺を混乱させた。
『実は……それがこの広大な北の地を守っていた精霊だったのだよ』
『…………』
笑い飛ばせるかと思ったが、できなかった。親父の瞳があまりにも真に迫っていたから。
仕方なく、俺は真剣に精霊について思いを巡らす。
精霊教会がこの国の第一宗教として認知されているとおり……この帝国には、昔から精霊に関して各地に伝承がある。大地、水、風……あらゆる自然物が長い時を経て精霊という存在に変化し、人々に加護を与え苦難から守ってくれているとされているのだ。