魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 その日から、俺を蝕む呪いとの戦いは、先日までずっと続いた。
 最初は強い疲労感から、毎晩自分が黒い波に飲み込まれる夢を見続け、夜ごと汗をかいて跳ね起きる。

 それでも、まだ希望があるうちは虚勢を張っていられた。あちらこちらに呪いを解くための知識を募り、仕事の合間に奔走し真偽を確かめる。相手をしてやれなくなってテレサは寂しがったが、呪いを解かねば本末転倒だと割り切り突き放した。

 だが、いい報せは一向に訪れず、そしてある日、俺は背中に黒い跡が浮かび始めたのに気付く。

『……くそっ、俺の場合はこうなんのかよ』

 おそらく、親父の時は聖属性の魔力で封じ込められていたのが、それを持たない俺の力では表出を抑えられなかった。嫌な汗が背中を伝う。親父ほどは保たないかもしれない……。

 痕が広がるにつれて、次第に城の周辺にうっすらと瘴気が立ち込めるようになった。醜い姿も隠し通すことはできず、先代に続きボースウィン公爵は呪われているという噂が大きく広がると、城を去る者も多く出てきた。

 そうして……親父が治めていた頃とは見紛うほどに城内は閑散としてゆき、俺も度々病床に臥すようになっていった。
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