魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「感謝します、では……。覚えていらっしゃいますでしょうか。以前お話しした通り、僕はここではない国――ボースウィン領と北で国土を接するセルベリア共和国という国からこちらへ来ました。そして……実は本当の家族たちを、向こうに残してきているんです」
「えっ――――」
あの町長さんが本当の父親でないことは聞いていたけれど……私はてっきり、彼のご家族はもうすでに亡いか、孤児などで自分の出生が定かではないものだと思い込んでいた。
しかし、彼は表情を曇らせたまま、ぽつぽつと零す。
「僕はこの地を……第二の故郷だと思っています。でも……どうしても僕をこちらに送り出してくれた家族のことを、忘れられないのも確かで。その人が、共和国でどういう生活を送っているかも分からないのに、僕だけが、ここで親切な人たちに囲まれ、平和に生きている。そのことが、ずっと心に引っ掛かってるんです……」
「そうだったの……」
以前聞いた話では、確かその時彼は十にも満たない幼子だったはずだ。きっと相応の事情があってこちらに連れられてきたのだろうし、気に病むこともないのではと思うけれど……。
私はこの地方のことに明るくないから、現在セルベリア共和国と帝国の間に国交が開かれているかも分からない。軽はずみに会いに行けばいいなどと言うこともできず……眉を寄せて口を閉じていることしかできなかった。
「えっ――――」
あの町長さんが本当の父親でないことは聞いていたけれど……私はてっきり、彼のご家族はもうすでに亡いか、孤児などで自分の出生が定かではないものだと思い込んでいた。
しかし、彼は表情を曇らせたまま、ぽつぽつと零す。
「僕はこの地を……第二の故郷だと思っています。でも……どうしても僕をこちらに送り出してくれた家族のことを、忘れられないのも確かで。その人が、共和国でどういう生活を送っているかも分からないのに、僕だけが、ここで親切な人たちに囲まれ、平和に生きている。そのことが、ずっと心に引っ掛かってるんです……」
「そうだったの……」
以前聞いた話では、確かその時彼は十にも満たない幼子だったはずだ。きっと相応の事情があってこちらに連れられてきたのだろうし、気に病むこともないのではと思うけれど……。
私はこの地方のことに明るくないから、現在セルベリア共和国と帝国の間に国交が開かれているかも分からない。軽はずみに会いに行けばいいなどと言うこともできず……眉を寄せて口を閉じていることしかできなかった。