魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ちょ、ちょっと! 不味いんじゃ……」
「そ、外の人達がどうにかしてくれるわよ! そのための護衛でしょ!」

 侍女たちは身を小さくし、縋るように言った。
 当然私たちに戦う力などないんだから、そう願うしかない。
 しかし、すでに馬車の中にも、うっすらと煙が立ち込め始め、焦げ臭い匂いがし始めている。

(さっきの攻撃が馬車の車体のどこかに燃え移った? まずいわ……)
「おい、誰か反撃しろよっ!」
「うるせえ! 雇い主のやつが、魔法を使える人間を隊に入れてなかったんだよ! 弓使いはいねえのか!」
「お、俺が……うわぁぁぁっ!」

 そして、頼みの綱の護衛たちの状況も、中から声を聞く限りよさそうじゃない。
 このままここにいても、私たちは馬車ごと薪にされる――。

「あなたたち、外に出て! このままじゃ死ぬわよ!」

 息苦しくなる中、そう判断したわたしは火が燃え移り始めた馬車の扉を思い切り開け放つ。
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