魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 空飛ぶ魔法や、魔力の霧で幻覚を見せる魔法、怪我をしたらテレサが聖属性魔法で治したりして、たまに無茶をして周りの大人に怒られたりしつつも、彼らはそうやって実生活の関わりの中で魔法に慣れていったのだとか。

「いいなぁ……。私にも、そんな友達がいたら」

 たとえ、毎日代わり映えのしない形だけの魔法修行の日々でも、隣に肩を並べて笑い合う仲間がいるだけで、きっとそれは違ったものになったはず。

「大丈夫」

 つい口から零れたそんな羨ましさを優しく拾い上げるように、彼は私の手をぎゅっと握ってくれた。

「今からでも、スレイバート様やテレサ様も誘って、色々な所へ皆で遊びに行きましょう。きっとこの先、そんなことを一緒に出来る仲間たちが、たくさん増えていくはずですから。あなたの新しい生活はここから始まるんです。そうでしょう?」
「ルシド……ありがとう」

 力強く諭してくれた彼のおかげで、私もそうかもしれないと思えてきた。同じ時間を共有する誰かと、こうして触れ合うことで、私たちの心は成長していく。それこそがきっと、人として大きくなってゆくために必要な経験なのだ。
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