魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
きょろきょろと辺りを見回しながら、やや離れた人気のない場所まで歩いてくると、ルシドがあっと声をあげた。
「見つけた。あれでしょうきっと……」
「そうかも。髪の色も同じだし、なんとなく似てる気がする」
離れていて見づらいけれど、ルシドの視線の先では十歳になるかならないかくらいの少年が、小高い丘のせり出した崖のような部分に乗って、手を必死に伸ばしている。
その指の先に張り出したのは、一本だけ周りと離れて育った大木の枝。根元には、まだ溶け切っていない雪がなだらかに積もっている。
「なにをしてるんだろう……ん、ちょっと危なっかしいな。やめさせましょう」
「本当ね。お~い、君――」
ぴょんぴょんと、飛び上がっては必死に指先を伸ばす彼の頭の上で、きらりとなにかが輝いた。何度目かの挑戦の後それを手にしたのか、彼は手元を覗き込んでにんまりすると、こちらに気付いたようだ。
はっと後ろ手に何かを隠す素振りを見せ、こちらを上目遣いで睨みだす。見ず知らずの大人たちにいきなり近づかれたとはいえ、やや不審な態度に思える。
「見つけた。あれでしょうきっと……」
「そうかも。髪の色も同じだし、なんとなく似てる気がする」
離れていて見づらいけれど、ルシドの視線の先では十歳になるかならないかくらいの少年が、小高い丘のせり出した崖のような部分に乗って、手を必死に伸ばしている。
その指の先に張り出したのは、一本だけ周りと離れて育った大木の枝。根元には、まだ溶け切っていない雪がなだらかに積もっている。
「なにをしてるんだろう……ん、ちょっと危なっかしいな。やめさせましょう」
「本当ね。お~い、君――」
ぴょんぴょんと、飛び上がっては必死に指先を伸ばす彼の頭の上で、きらりとなにかが輝いた。何度目かの挑戦の後それを手にしたのか、彼は手元を覗き込んでにんまりすると、こちらに気付いたようだ。
はっと後ろ手に何かを隠す素振りを見せ、こちらを上目遣いで睨みだす。見ず知らずの大人たちにいきなり近づかれたとはいえ、やや不審な態度に思える。