魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「どうしてあんな、危ないことを……?」
「……怒らない?」

 不安げに見上げてきた少年に、今更だものと私が頷くと、彼は懐から鎖のようなものを引っ張り出してきた。

「これを取ろうと思ったんだ」

 少年が手の中に落としたそれを、私はじっと見入る。

「ペンダント……?」

 それは白銀の金属……おそらく霊銀(ミスリル)の鎖の先に、オーバルタイプの空色の宝石が着いた美しいペンダントだった。焚火の光を受けて、複雑な色合いに表面をきらめかせている。

「うん。それね……もっと小さい頃、湖に遊びに来た時に見つけたの。でも、だいぶん高いところにあったから手が届かなくて。いつか大きくなって自分で取れるようになるのを、ずうっと待ってたんだ」

 少年が言うには……今から数年前、友達と遊んでいた時に、偶然このペンダントがあの大樹の枝に引っ掛かっているのを発見したんだとか。
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