魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「申し訳ございませんでした……! 命に代えてもあなたの安全を守れと、スレイバート様からも厳命されていたのに……。この償いは、どんな罰でも受けるつもりです……!」
「そんな、まずは顔を上げて……?」

 その必死な表情に、私の胸は痛んだ。今回のことだって、完全に私の暴走で彼に落ち度はない。なのにどうして彼を責めるだなんてできるだろう。

「こちらこそごめんなさい。あなたには、前々から助けられてばっかりね。逆にお礼をしなければならないくらいだわ」
「シルウィー様……」

 私は彼に感謝の気持ちを伝えて引き起こすと、自分の隣に座らせた。それでも、彼の騎士としてのプライドは中々収まるまい。いたずらに傷つけてしまったことを心の中で詫びながら、今はそれよりもと話を進める。

「とりあえず、一刻も早くこの子をお母さんのところに返してあげなくちゃ。それでどうかしら、元の場所には戻れそう?」
「……ええとですね。実は……」

 するとまだ表情は冴えないが、彼はちゃんと現在の状況を説明してくれた。
 それによると崖はかなりの高さだったらしく、ルシドの残っている魔力では、今日中に私達を上に運ぶことはできないとのことだった。
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