魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 先代公爵に縁のある地だし、よもや、別人のものではないだろうと思った。まさかスレイバート様のお父上の遺品が、こんなところで見つかるなんて。

「お姉ちゃん……返してよう。それ、僕が見つけたんだから」
「あっ、そうよね。ごめん」

 子どもらしく口を尖らしてこちらの袖を掴んだ少年に、私はそれを返してあげながら少しばかり考え込む。

 確かに……子供時代の長く待ち遠しい時を経て、せっかく手に入れたというペンダントだ。少年にとっては、特別な宝物だろう。でも、同時に……それはスレイバート様の尊敬するお父様の大切な形見でもある。……やはり、彼の元へ返してあげたい。

 私は少年に目を合わせると、じっくりと頼み込んだ。

「ねえ、お願いがあるの。そのペンダント、実はお姉ちゃんの大切な人の家族が遺していったものかもしれないんだ。どうか、譲ってもらうことはできないかな」
「……ええ、やだよぅ。あれだけ我慢して、やっと手に入れたんだもん」
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