魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「いやぁぁぁ……死にたくないぃ」「神様、神様……」

 侍女たちふたりはと言うと、外に出たはいいが魔物が恐ろしくてその場に座り込んでしまっている。護衛も誰も彼女達を助けようとしなかったみたいだ。
 気に入らない人たちだが、かといって死んでほしいというわけでもない。

「逃げて!」

 とにかく私はそう叫んだ。火吐き燕は、先に怪我人に群がり止めを刺そうとしているみたいだったから、今走ればやつらに気付かれず逃げ切ることもできるかもしれない。

 叫びが通じたのか、侍女たちはのろのろと立ち上がり、走り去っていく。
 私も続こうとしたけれど、それより早く、一匹の魔物の吐いた火球が足元に当たった。直撃こそしなかったけれど、その衝撃で地面に倒れ込む。

「う……うぅ」

 当然、助け起こしてくれる人など誰もいない。
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