魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 気が付けば、この場所にいるのはもう自分と、後は生きているか死んでいるかも分からない人たちだけだ。その中に侍女たちはおらず、多分逃げることができたのだろう。

 それはいいとして、近くに転がっていた剣を杖代わりに立ち上がった時には周りを魔物たちに取り囲まれていて、もうどうしようもない、きっとさっきのが最後の逃亡のチャンスだった。

(こんな終わり方は予想してなかったな……)

 どこの誰かも知らない貴族に売られるのも最低だけど、魔物に襲われて死ぬというのもかなり悲惨だ。どこまでいっても私は、ついていないと感じる。

 いっそ燃え盛る馬車の中に飛び込んで焼かれた方がましかなとも思うけれど、それでも私は剣を支えにのろのろと動き出した。さっき倒れた時に捻ったのか、足に力が入らないけど、それでも懸命に逃げようともがく。

「ケーッ!」

 そんなわたしの背中を火吐き燕が弄ぶように蹴り倒し、前に転ぶ。
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