魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「あ~あ、お腹空いてきちゃった。いつもだったらご飯を食べてる時間なのに……。明日帰ったら、お母さんきっとカンカンだよ」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんたちが、きつく叱らないようお母さんに言っておいてあげるから」
「本当!? 絶対だよ! お母さん怒ると止まんないんだ。こないだなんていたずらでネズミのおもちゃを鞄の中に突っ込んどいたら、フライパンでお尻を何度も引っぱたかれて――」
「そ、それは……見かけによらないね」
あんなに上品そうなお母さんも、人の親には違いない。意外とやんちゃな少年が母親との戦いの記録をルシドに語って聞かせる中、ポーチの中を探る私の指に、小さな袋が当たる。これは確か、こないだテレサとお揃いで買った、かわいいピンクの包装紙のキャンディー。
「よかったらどうぞ。ないよりマシ程度だけど、丁度ひとりひとつずつあるから」
「わあ、ありがとう」「助かります」
少年はそれを口にしてすぐ、疲れていたのか少しずつ身体が傾かせ、うつらうつらと舟をこぎ始める。
ここには寝床もないし、直接床に寝かせるのもかわいそうだ。危ないからと私が彼をぐっと引っ張って膝の上に乗せてあげると、そこからはすぐに健やかな寝息が聞こえ始めた。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんたちが、きつく叱らないようお母さんに言っておいてあげるから」
「本当!? 絶対だよ! お母さん怒ると止まんないんだ。こないだなんていたずらでネズミのおもちゃを鞄の中に突っ込んどいたら、フライパンでお尻を何度も引っぱたかれて――」
「そ、それは……見かけによらないね」
あんなに上品そうなお母さんも、人の親には違いない。意外とやんちゃな少年が母親との戦いの記録をルシドに語って聞かせる中、ポーチの中を探る私の指に、小さな袋が当たる。これは確か、こないだテレサとお揃いで買った、かわいいピンクの包装紙のキャンディー。
「よかったらどうぞ。ないよりマシ程度だけど、丁度ひとりひとつずつあるから」
「わあ、ありがとう」「助かります」
少年はそれを口にしてすぐ、疲れていたのか少しずつ身体が傾かせ、うつらうつらと舟をこぎ始める。
ここには寝床もないし、直接床に寝かせるのもかわいそうだ。危ないからと私が彼をぐっと引っ張って膝の上に乗せてあげると、そこからはすぐに健やかな寝息が聞こえ始めた。