魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それは今私がこうして幸せな環境に浸っているからで、ある意味では心が弱くなってしまったといえるのかもしれない。でも……ずっと憎しみを抱え続けていくのは、多分もう、無理だ……。

(いつか決着を付けなくちゃ。たったひとり残った、私の家族――父のことも)
「不安そうな顔をしないでください」

 考え込んでいると、背中に温かいものが被さった。
 隣を見ると、ルシドが私に自分のマントをかけてくれていた。

「ここには、シルウィー様の味方がたくさんいます。王都じゃなくてもうここが、あなたの居場所なんですよ。だからこれからは今までできなかった、あなたの望む生き方を実現していってください。そのためにスレイバート様も、あなたがこうして始めた仕事を支援してくださっているはずですから」

 ルシドは自身の経験から、敏感にこちらの気持ちを察知してくれたみたいだ。
 彼の言うように、今の私には信頼できる人たちがいる。ならば、どんな問題が起こってもきっとなんとかできる。
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