魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「うん、もう大丈夫」
「そうですか。それじゃ僕は火の番をしますので、彼に膝を貸しながらでは大変でしょうが、少しでも休んでください」
「あ……待って」

 私にマントを預けたまま、距離を取ろうとしたルシドを思わず引き留める。そして意を決し両手を大きく広げた。

「よ、よかったら一緒に入りましょ。意地を張って風邪でも引いたら大変だもの。それにあなたは私の大切な仲間だから。くっついて暖を取るくらい誰も咎めないわ」
「ですが……」

 口籠る彼に、私は信じる気持ちを込めて微笑みかけた。

「照れくさいけど我慢しましょう。明日もまた、元気でいるために」

 そろそろ限界なのと伸ばしていた指を震わせアピールすると、彼はふっと息を吐きだし、手からからマントを受け取ると、後ろに座って私たちを包み込む。
< 255 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop