魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
シルウィーが居ないのならば、魔石店はしばらく開店休業といったところだ。
緊急用の在庫だけ確保して、テレサは奥でお茶を淹れると、テーブル席で気を落としているルシドの前に湯気の立つカップを置いた。そうしても、深い懊悩を示すように彼はカップに口をつけようともしなかったが。
「……いいえ。僕の考えが甘かっただけです。スレイバート様の言う通り、もしこれでシルウィー様を失っていたら……僕自身が、自分を許せなくなっていたはずだ」
もしそうなっていたら、本気で自刃でもしかねない彼のその様子を、テレサはやや入れ込み過ぎているようにも感じる。それが彼女には少々予想外だった。
「それはそうでしょうけど……ルシドったら真面目過ぎるわ。お兄様があなたに誰よりも期待をかけているのは事実だけど、責任を背負い込むのもほどほどにしておかないと、潰れるわよ」
こんな励まし程度では響かないと感じつつも、テレサは向かいに座って声を掛ける。
実は、スレイバートがルシドに護衛を持ちかけたことを知り、テレサはこの青年にある頼みごとを持ちかけていた。
彼にシルウィーと少しずつ距離を縮めていくように振舞わせ、兄の嫉妬と自覚を引き出そうとしたのだ。
緊急用の在庫だけ確保して、テレサは奥でお茶を淹れると、テーブル席で気を落としているルシドの前に湯気の立つカップを置いた。そうしても、深い懊悩を示すように彼はカップに口をつけようともしなかったが。
「……いいえ。僕の考えが甘かっただけです。スレイバート様の言う通り、もしこれでシルウィー様を失っていたら……僕自身が、自分を許せなくなっていたはずだ」
もしそうなっていたら、本気で自刃でもしかねない彼のその様子を、テレサはやや入れ込み過ぎているようにも感じる。それが彼女には少々予想外だった。
「それはそうでしょうけど……ルシドったら真面目過ぎるわ。お兄様があなたに誰よりも期待をかけているのは事実だけど、責任を背負い込むのもほどほどにしておかないと、潰れるわよ」
こんな励まし程度では響かないと感じつつも、テレサは向かいに座って声を掛ける。
実は、スレイバートがルシドに護衛を持ちかけたことを知り、テレサはこの青年にある頼みごとを持ちかけていた。
彼にシルウィーと少しずつ距離を縮めていくように振舞わせ、兄の嫉妬と自覚を引き出そうとしたのだ。