魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 彼は忙しいだろうにわざわざ足を止め、浮かない顔をしていた私を気遣ってくれる。

「閣下にこちらに戻されたとお聞きしまして。なにかよくないことでもあったりしましたか? どうでしょう、私でよければ相談に乗りますが」
「でも、お邪魔では……?」
「なにをおっしゃる。閣下をお救いくださった聖女様のお悩み以上に優先することなどあるものですか。ではこう言い換えましょう。なにがあったのか、ぜひ私めにお聞かせ願いたい! この通り!」
「そ、そんな! 大したことじゃないんですけれど……」

 そうまで言ってくださるとさすがに断ることもできないし、実際誰かの意見も聞きたかったところだ。ありがたくご厚意に甘えることになり、彼はここでは落ち着いて話もできないからと、ある場所に案内してくれた。

 お城の建物から出てしばらく。歩いた先に見えてきたのは、長い城壁の側に造られた小さな庭園。

「ここは……」
「いい場所でしょう。手入れする者もいなくて少し荒れていますが、かつて閣下やルシド君たちも、こういうところで遊んでいたんですよ」
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