魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……まあ、今のおふたりの問題は大体把握しました。おそらく、今のままでは閣下のお怒りは解けませんし、その原因にシルウィー様が気付くこともないでしょう」
「ええっ!? どうして彼が怒っているか分かったんですか⁉ 教えてください!」
「ダメです」

 相談に乗ってくれると言ったのに――。

 たちまち神妙な表情になったクラウスさんはすげなくそう答えると、私の目の前に一本指を立てて言った。

「いいですか? 何事もそうですが、人間関係は千差万別。他人の経験談ばかり聞いていてもなかなか解決しないもの。その人を知ろうとするならば、距離を縮める努力をしませんと。実践と経験こそが唯一の近道なのです!」
「そ、そういうもの、ですか……?」

 その剣幕に私がやや腰を引くと、彼はコホンと咳をして居住まいをただした。

「失礼、ちと熱が入りすぎてしまいました。ま、でも、時には人の知恵を借りようとすることも、間違ってはおりません。……よし、この件は私にお預けいただけますか? 閣下の真意を問い正すのによい機会を近日中に準備してみせます」
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