魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そしてそれはテレサとルシドのふたりに関しても言えることで――私の軽率さのせいでこの人たちが培ってきた絆が壊れ、疎遠になることなどあってはいけない。今日はできる限りのことをして、亀裂の入ってしまった関係の修復に取り組みたいところだ。

「さすがクラウスはやり手ですわね~……よく分かってる」

 シートの隅の方に置かれていた荷物から、テレサが色々取り出し始めたのを私も手伝う。
 そこには食器類と、お茶の準備。それに、大きなバスケット一杯のサンドイッチと摘まめるような軽食の類がぎゅっと詰め込まれている。私は初めてなのでよく知らないが、テレサ曰く……これがピクニックという行事のスタンダードスタイルらしい。

 トングでそれらを取り分けると、各自に手渡された料理とテレサの淹れてくれた美味しいお茶で食事の準備は万端だ。精霊様のお恵みに感謝しつつ、私たちは緑の中にくっきりと映えるボースウィン城の威容とともに、とれたての作物がふんだんに使われた、美味な食事を堪能していった。

「おいしい……外で食べる食事って、こんなにも気持ちが安らぐのね」
「うふふ、いっぱい召し上がってください。あっお兄様、付け合わせのウィンナーばかりでは、栄養が偏ります! お野菜も摂りませんと!」
「いーだろ。こういう時くらいしか食いたいものも食えねーんだし、ちょっとくらい」
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