魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 私の知らない国々を真上から見下ろしてきたであろう雲たちに、話を聞けたら面白いのに――そんな風に流れていってしまう彼らを見送ると、ほのかな日差しが私たちを包んだ。

 ああ、本当に穏やかな気分だ……実家でいたころの日々が、今は遥か遠い。

「よっと……。んで、向こうじゃ上手いことやれてたのかよ?」
「え……? あ、お店のことですか? でしたら、売り上げは上々で」

 いつの間にか、スレイバート様も両足を投げ出すようにして、私の隣に並んでいる。光がくっきりと彼の表情を照らしていて、その美しさに目が潰れてしまいそうだ。

「じゃなくて、普通の暮らしってやつを満喫できてたのかって聞いてんだよ」
「ああ……」

 思いも寄らぬ質問に、私は目をぱちくりと瞬かせた後、軽く俯けた。

「楽しかったですよ。色んな人と出会えましたし――」
「なんだよ? 変なところで止まって」
「……いえ、なんでもないです」
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