魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
言葉を止めたこちらの顔を彼はじっと見つめ、ふたつの瞳の健在ぶりが嬉しい私は、苦笑で誤魔化す。嘘は言っていない、楽しいのは本当。でも、仕事を初めて分かったのは、やっぱり、彼らとの出会いが特別だったんだということ。
レーフェルでの生活に不足はなかった。でも、この城で暮らしていた頃は……きっと、私は彼らと一緒にいられるだけで満足だった。だから、あの街で暮らしていた頃は時折、物足りなさのようなものを感じていたのだ。
しかし、それもまた贅沢で……こうして彼らが幸せに暮らせていること以上に嬉しいことなんてない。それが分かるから、私は努めて彼に明るく笑いかけた。
「なんでも自分でやるって楽しいですよ。帳簿付けや、お店の掃除。売り物の魔石を磨いたり……こんなに大変だなんて思っていなくて、毎日くたくたで乗り越えるので精一杯ですけど。でも、ちょっとずつできることが増えていくのは、生活してるんだって感じがするんです。やっぱり私、このボースウィン領のことが、大好きです」
「そうかよ……」
それを聞いて、スレイバート様は目を細め、小さく笑った。そして日差しに手を翳しながら、私に伝えてくる。
「……婚約のことは、忘れていい。相手はまた見つかるし、もう急ぐ必要もねーからな。だから、お前はお前のやりたいようにやれ」
「……はい、ありがとうございます」
レーフェルでの生活に不足はなかった。でも、この城で暮らしていた頃は……きっと、私は彼らと一緒にいられるだけで満足だった。だから、あの街で暮らしていた頃は時折、物足りなさのようなものを感じていたのだ。
しかし、それもまた贅沢で……こうして彼らが幸せに暮らせていること以上に嬉しいことなんてない。それが分かるから、私は努めて彼に明るく笑いかけた。
「なんでも自分でやるって楽しいですよ。帳簿付けや、お店の掃除。売り物の魔石を磨いたり……こんなに大変だなんて思っていなくて、毎日くたくたで乗り越えるので精一杯ですけど。でも、ちょっとずつできることが増えていくのは、生活してるんだって感じがするんです。やっぱり私、このボースウィン領のことが、大好きです」
「そうかよ……」
それを聞いて、スレイバート様は目を細め、小さく笑った。そして日差しに手を翳しながら、私に伝えてくる。
「……婚約のことは、忘れていい。相手はまた見つかるし、もう急ぐ必要もねーからな。だから、お前はお前のやりたいようにやれ」
「……はい、ありがとうございます」